こんにちは、「恋愛心理学新聞」です。恋愛や結婚は人生の大きなテーマですが、今の若者たちは一体どのような基準でパートナーを選び、どのような将来を描いているのでしょうか。
今井靖親氏と森田健宏氏の研究チームは、大学生200名を対象に、彼らが抱く「理想の異性像」や「現代的な恋愛・結婚スタイル」への本音を調査しました。その結果、恋愛には「ときめき」を、結婚には「現実的な共生」を求めるという、非常に明確な意識の使い分けが浮き彫りになりました。
今回のポイント
- 恋愛では男女共に「外見」を重視するが、結婚では重視されなくなる。
- 結婚後の家事分担や共働きなど、「男女平等」の意識が浸透している。
- パートナーへの依存(特に女性の経済力重視)も、依然として根強く残っている。
大学生200名への意識調査:自由記述と6段階評価で迫る本音
今回の調査では、教育大学に通う男子学生91名、女子学生109名(平均年齢19.4歳)を対象に、独自のアンケートが実施されました。調査内容は大きく分けて2つのパートで構成されています。
まず1つ目は、「恋愛対象」と「結婚対象」それぞれに求める理想像を5つずつ自由に挙げてもらう**自由記述法**です。これにより、読者が頭の中で描いている生のイメージを抽出しました。
2つ目は、最近の社会風潮を反映した恋愛・結婚のスタイル(各12項目)に対し、自分の考えにどれだけ当てはまるかを回答してもらう**6段階評定法**です。これは、「1:全く当てはまらない」から「6:全く当てはまっている」までの数値で評価し、その平均値を分析する手法です。
分析には**t検定**という統計手法が用いられました。これは、男子と女子の平均値の差が、単なる偶然によるものか、それとも意味のある心理的な違い(**有意差**)なのかを判定するものです。この厳密な手続きによって、現代の若者の価値観が科学的に解明されました。
恋愛は「見た目」も大事、結婚は「家庭的」が最優先
調査の結果、大学生が抱く理想のパートナー像には、恋愛と結婚で面白いほどの「ギャップ」があることが分かりました。
恋愛では「優しい」に次いで「容姿」がランクイン
恋愛対象の理想では、男子の2位、女子の3位に「容姿が良い(美人・かっこいい)」がランクインしました。男女ともに1位は「優しい」でしたが、恋愛においては外見的な要素が重要な選択基準になっていることがデータで示されました。
結婚は「持続可能性」を重視する現実派
一方、結婚対象になると理想像はガラリと変わります。男子の1位は「家庭的」となり、女子の2位には「経済力がある」が登場します。興味深いことに、恋愛で上位だった「容姿」は、結婚の理想トップ5からは姿を消しました。
これは、恋愛がその場の感情や楽しみを優先する「即時的・快楽的」なものであるのに対し、結婚は共に生活を営んでいくための「持続的・現実的」なものとして捉えられているためです。若者たちは、恋と結婚をしっかりと区別していると言えます。
進む「男女平等」:家事も仕事もふたりで半分ずつ
現代の大学生が考える「結婚のスタイル」についても、非常に特徴的な結果が得られました。特筆すべきは、「男女平等」への意識が非常に高まっているという点です。
具体的な数値を見てみましょう。結婚に関する質問項目のうち、以下の項目で高い支持(6段階中、高い平均値)が得られました。
- 「結婚後も夫婦ともに外で仕事をもつのがよい(共働き)」:男子3.94 / 女子4.45
- 「家事は均等に分担するのがよい」:男子4.00 / 女子4.75
- 「主婦のほかに『主夫』がいてもよい」:男子4.12 / 女子4.57
これらの項目では、特に女子学生の方が男子学生よりも、平等な役割分担を強く支持していることが明らかになりました。雇用問題などの社会背景を受け、女性の独立志向や権利意識が高まっていることが推測されます。
一方で、「結婚しても男女別姓でいるのがよい(平均2.93/3.07)」や「家計は夫婦別個がよい(平均2.63/2.99)」といった項目は支持が低く、独立しつつも「夫婦として一体でありたい、共生したい」という、バランスの取れた夫婦像を求めている様子が伺えます。
意外?「年齢差」には寛容で「浮気」には厳しい若者の心理
現代的な恋愛のスタイルについての評価では、意外な柔軟さと、一方で堅実な一面が見られました。
年齢差カップルへの高い寛容度
最も高い支持を得たのは、「年齢差にこだわらない恋愛関係(平均5.21/5.31)」や「大学生と中高生の交際(平均4.67/4.75)」でした。研究チームは、これを「ロリータ・コンプレックス」や「ブラザー・コンプレックス」への容認というよりは、恋愛において年齢という枠組みをあまり意識しない自由な感覚の表れだと分析しています。
複数の交際や「浮気」は断固拒否
一方で、非常に支持が低かったのは「複数の異性との同時進行(平均2.86/2.09)」や「浮気・不倫(平均2.48/1.80)」でした。メディア等では、複数の相手を確保する「キープ」や「合コン・ナンパ」などの奔放な関係が紹介されることもありますが、大学生の心理的な実感としては、依然として「一途な関係」が正義であることが再確認されました。
結論:共通の価値観を持つ男女が歩む「共生」の道
今回の調査の全体像をまとめると、現代の大学生は恋愛・結婚に関して男女でほとんど差のない、共通の価値観を持っていることが分かりました。
研究チームは、彼らが「男女平等な役割分担」という新しいスタイルを受け入れつつも、夫婦としての独立よりも「共に生きていく共生感」を重視している点に注目しています。また、女性の理想像に「経済力」や「頼れること」が残っている点から、完全な独立志向ではなく、相手への依存的な傾向も同居しているという複雑な心理を指摘しています。
この研究は、教育大学の学生という特定の集団に限定された調査であるという課題はありますが、現代の若者が「自由な恋愛」を楽しみつつ、結婚には「安定した平等な生活」を求めているリアルな姿を鮮明に映し出しています。あなたが抱いている「理想」と、今の大学生たちの「本音」、重なる部分はありましたか?
参考文献
今井靖親・森田健宏. 大学生の恋愛観・結婚観. 心理学教室紀要, 15-22.


コメント