2025年1月、チリのサンティアゴ大学などの国際研究チームは、恋愛における「親密さ」と「嫉妬」の複雑なつながりを解明する最新の研究成果を発表しました。
これまで嫉妬は、単なる「自分への自信のなさ」や「相手への不信感」だと思われてきました。しかし今回の研究は、相手を大切に思う気持ちそのものが、嫉妬を引き起こす「防衛本能」として機能していることを最新データで示しました。
今回のポイント
- 相手を「自分の一部」だと強く感じる人ほど、デジタル環境での嫉妬心が強まる。
- 不安型の愛着を持つ人は、嫉妬の変動幅が特に大きい。
- 「愛されている実感」が、嫉妬の炎を鎮める最強のブレーキになる。
265名の国際調査で分かった嫉妬の正体
研究チームは、チリ(40%)とスペイン(60%)に住む265名の男女を対象にオンライン調査を実施しました。参加者の71.9%は女性で、その多くが現在進行形で真剣な交際をしている人々です。
調査では、SNS上での行動をチェックしたくなる「デジタル嫉妬」の度合いや、自分と相手をどれだけ一体化して考えているかを示す「親密さの尺度」を詳しく分析しました。さらに、子供時代の親との関係が影響する「アタッチメント(愛着)スタイル」についても測定を行いました。
研究の目的は、愛着の不安や親密さが、具体的にどれほど嫉妬の感情を左右しているのかを数値で突き止めることでした。
親密さが嫉妬を30%も加速させる
分析の結果、非常に興味深い事実が判明しました。全参加者を通じて、「不安型アタッチメント」と「心理的な一体感(IOS)」の2つが、嫉妬心の強さの約30%を決定づけていたのです。
特に注目すべきは「一体感」の影響です。相手を「自分の一部」のように感じている人ほど、パートナーが他の誰かと親しくすることに対して、自分の身を削られるような強い危機感を覚えることが分かりました。
チリとスペインで見られた文化の差
また、国による違いも鮮明になりました。チリの参加者はスペインの参加者に比べて嫉妬心が有意に高く(効果量 d=0.47)、嫉妬がより複雑な感情として経験されていました。
スペインのような個人主義的な文化では、自立が重んじられるため、嫉妬の影響力は相対的に小さくなります。一方、チリのような関係性を重視する文化では、嫉妬は絆を守るための重要なシグナルとして機能していると考えられます。
嫉妬を打ち消す「被愛感」の効果
さらに、チリのデータからは希望ある結果も得られました。パートナーから「大切にされている」「理解されている」と感じる「愛されている実感」が強いほど、嫉妬心は大幅に減少(β=-0.251)していたのです。つまり、日々の細かな愛情確認が、デジタル時代の嫉妬を未然に防ぐ特効薬になります。
良好な関係を保つためのアクションプラン
研究結果を踏まえ、明日から実践できる「嫉妬のコントロール術」を提案します。
1. 「一体化」の度合いを自覚する
「相手は自分の一部」という感覚は素晴らしいものですが、過剰になるとスマホの通知一つで心が乱れる原因になります。嫉妬を感じた時は、「今、私は相手を自分の所有物のように感じていないか?」と自分に問いかけてみましょう。相手と自分との間に適切な境界線を引くことが、心の平穏につながります。
2. 相手に「愛されている実感」をプレゼントする
嫉妬深いパートナーを責めるのではなく、むしろ「いつも大切に思っているよ」というメッセージを増やしてみてください。研究が示した通り、愛されているという確信は、不安を土台とする嫉妬を物理的に消し去る力があります。特にチリのような関係性重視のタイプには、言葉での確認が最も効果的です。
3. デジタルな「詮索」をルール化する
デジタル環境は嫉妬を増幅させやすい場所です。不安型のアタッチメントを持つ自覚がある場合は、SNSの見方についてパートナーと話し合いましょう。「誰と連絡しているか気になった時は直接聞く」といったオープンなルールを作ることで、隠れてチェックするような後ろめたさを解消できます。
嫉妬は、あなたがその人を「失いたくないほど大切に思っている」という生存本能からのサインです。そのエネルギーを監視ではなく、相手をさらに愛するための行動に変えていきましょう。
SNSの通知よりも、目の前の相手が見せている笑顔の方が、あなたの未来にとってはるかに重要な情報なのですから。
参考文献
Fernández, A. M., Barbato, M. T., Barone, P., Zavalla, B., Rivera-Ottenberger, D., & Guzmán-González, M. (2025). What Is the Link of Closeness and Jealousy in Romantic Relationships? Behavioral Sciences, 15(2), 132. https://doi.org/10.3390/bs15020132


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