浮気:目撃したらどう動く?5つの対処法と男女差を心理学が解明

神戸大学大学院の研究チームは、恋愛関係においてパートナーの浮気を疑う場面に直面した際、個人がどのような行動を選択するかを予測する新しい指標「ABSII(架空の浮気場面への予測行動尺度)」を開発し、その妥当性を発表しました。もしもの事態に自分がどう反応するのか、その心理メカニズムがデータによって明らかになっています。

浮気場面への予測行動とは、恋人の不貞を疑う状況で「別れ」「攻撃」「対話」など自分が選ぶ行動傾向の予測です。

今回のポイント

  • 浮気への対応は「攻撃・沈黙・別れ・対話・ライバル」の5パターンに分類される
  • 女性は「攻撃(怒りをぶつける)」、男性は「ライバルへの接触」を選ぶ傾向が強い
  • 関係に費やした「投資量」が多いほど、不満があっても別れず攻撃的になりやすい
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大学生112人を対象とした「デート目撃場面」の想定実験

この研究では、現在恋人がいる大学生112名を対象に、リアリティのある架空のシナリオを用いた調査が行われました。提示された場面は「土曜日の夜、自分の知らない人物とデートしている恋人をたまたま目撃してしまう」という、心理的に負荷の高い状況です。

参加者は、この場面で自分が取るであろう行動について、研究チームが作成した40項目の質問に答えました。この測定に使われたのがABSII(Anticipated Behavior Scale for Imaginary Infidelity)という尺度です。これは日本語で「架空の浮気場面への予測行動尺度」と言い、まだ実際に浮気が起きていない段階で、自分の行動をどう予測するかを測るための専用の物差しです。

研究チームは、この回答結果を因子分析(いんしぶんせき)という手法で解析しました。これは、たくさんのデータの中から共通する「反応のクセ」を見つけ出す統計手法です。その結果、私たちの浮気への対処法には、明確に5つの方向性があることが分かりました。

心理学が分類した「浮気への5つの対応パターン」

解析によって導き出された5つのパターンは以下の通りです。

1. 攻撃志向:怒りや苦しみを相手にぶつける

「相手を責める」「意地悪なことを言う」といった、直接的な怒りの表明です。ストレス反応が強い人ほどこの傾向が高まります。

2. 沈黙志向:あえて触れずにやり過ごす

「見間違いだったことにする」「時間が解決するのを待つ」という、波風を立てない対応です。この行動を選ぶ人は、その状況を「自分にとって脅威ではない」と評価している傾向があります。

3. 別れ志向:関係を終わらせることを考える

「別れ話をする」「距離を置く」など、離脱を目的とした行動です。現在の関係への満足度が低い場合に選ばれやすくなります。

4. 対話志向:冷静に話し合って解決を図る

「正直な気持ちを伝える」「落ち着いて事情を聴く」という建設的な対応です。恋人へのコミットメント(今後も一緒にいようという意思)が強い人によく見られます。

5. ライバル志向:浮気相手にコンタクトを取る

「相手が誰か調べる」「自分が恋人だと伝える」といった、第三者へ向かう行動です。三角関係を解消しようとする能動的な動きです。

女性は「攻撃」、男性は「ライバル」へ動く?驚きの男女差

興味深いことに、予測される行動には統計的に有意な差(偶然とは考えにくい明確な違い)が見られました。

まず「攻撃志向」については、女性の方が男性よりも得点が高いことが分かりました(t=2.11, p<.05)。これは女性の方がパートナーに対して感情をストレートに出しやすいという過去の研究結果とも一致しています。

一方で「ライバル志向」については、男性の方が女性よりも高い数値を示しました(t=-2.24, p<.05)。男性は自分のパートナーに近づくライバルを積極的に排除し、遠ざけようとする心理が働きやすいのかもしれません。

「投資量」が多いと、不満があっても別れられず攻撃的になる

研究では、カップルの関係性を説明する「投資モデル」との関連も調査されました。投資モデルとは、その関係に費やした時間、お金、エネルギーなどの投資量が多ければ多いほど、関係を維持しようとする心理が働くという理論です。

分析の結果、投資量が多い人は「対話」を望む一方で、意外にも「攻撃志向」や「ライバル志向」とも強い正の相関(pr=.42, .29)があることが判明しました。つまり、これまでにたくさんの努力を関係に注いできた人は、裏切られた時のコスト(損失)が大きすぎるため、簡単には別れを選択できず、その代わりとして相手やライバルを激しく攻撃してしまう可能性があるのです。

逆に「別れ志向」については、関係への満足度(pr=-.36, p<.001)やコミットメント(pr=-.38, p<.001)が低い場合にのみ高まり、これまでの投資の多さはあまりブレーキにならないことも示唆されました。

まとめ:自分の「反応のクセ」を知る意義

研究チームは、この尺度が恋愛関係における葛藤の理解に役立つと考えています。ただし、今回の調査は「架空の場面」を想定したものであり、実際にその場に直面した時の行動と完全に一致するかは今後の課題としています。

自分の行動傾向が「対話」に向かうのか、それとも「攻撃」や「別れ」に向かうのか。それを事前に把握しておくことは、予期せぬトラブルが起きた際に、感情に流されすぎず冷静な判断を下すための一助になるかもしれません。

読者の皆様の中には、「浮気」の定義が人によって違うのでは?と気になった方もいるでしょう。今回の研究では「デート」を基準にしていますが、LINEのやり取りや身体的な接触など、境界線の引き方によって選ぶ行動が変わるかどうかも、今後の心理学が解き明かしていくべき興味深いテーマです。

私たちは、愛する人との関係を維持しようとする本能と、裏切りへの防衛本能の間で常に揺れ動いているのです。

参考文献

神野雄 (2017). 架空の浮気場面への予測行動尺度の信頼性・妥当性の検討. パーソナリティ研究, 26(2), 140-153. DOI: http://doi.org/10.2132/personality.26.2.11

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